『えっ、振り返り? 反省―とは違うの?』

 「あなたが住んでいる地域では、どんな防災訓練をしていますか?」
 防災に関する講座を聴講しているとき、講師からこんな質問を受けました。
 そして、最後に、こんな質問も受けました。
 「訓練の後、どんな"振り返り"をされましたか?」
 その時、こう思いました。
 『えっ、振り返り? 反省―とは違うの?』
 というわけで、インターネットで調べてみました。
 「仕事における振り返りの手法と重要性…」
 「成長につながる振り返りの重要性と具体的な手法…」
 「振り返りとは? 仕事でなぜ重要なのか?…」
 などなど。
 なんだか、ビジネスシーンでよく用いられる用語のようです。
 その中身を幾つか読んでみました。一部を引用すると…。

振り返りとは、「内省」とも言い換えられる言葉です。内省とは、これまでの自身の行いを思い返し、自分の内面を見つめ直すことで、思考や気持ちを整理すること。
また、過去の自分を後悔する、過去から学ぶといった意味もあります。
このうち、組織で求められる内省は、過去から学んで次に生かすための振り返りです。
過去から学ぶとは、自分のとった行動や決断がどのような結果に結びついたのか見つめ、その原因を探し出し、次に同じ状況が起こった時の対策を立てることです。
一方、過去を後悔するだけでは失敗にとらわれてしまい、自責の念が増すだけで、未来の行動につながりません。
失敗によってモチベーションを下げるのではなく、失敗を次の糧にして、前向きに次のチャンスに向かっていくために行うのが振り返りといえます。

 そして、効果的に振り返りを行うためのポイントが幾つかあると言われています。
 その一つが、「客観的な視点で分析を行う」こと。失敗や目標未達成といった事実は、ネガティブな気持ちになりがち。でも、そのような感情に振り回されず、客観的に体験や物事を分析することが大切なようです。
 振り返りの注意点もいろいろあるようです。例えば…。
 「失敗の原因追究はあくまでもプロセスの一部。そこから、今後に生かせるような対策を考えることが大切です」
 「行動を思い出して、よくなかった点を反省することは重要。しかし、失敗の追求と同様にそこで終わらせては、意味がありません。ただ反省しただけでは、次にどのように動くべきか明確にならないからです」
 そして…。
 「フレームワークなどを利用して決めたことは、まずは手順に従ってやってみましょう」
 何となくわかってきました。なるほど、なるほど。
 振り返りの効果なるものが、うまくまとめられているサイトを見つけました。一部を引用させていただくと…。

・原因について論理的に考えるので、達成できなかったことを感情的に責めなくなる。
・建設的な取り組みができる組織づくりにつながる。
・問題や課題を自分一人で抱え込まなくなるので、安心感が生まれる。
・自分の役割が明確に認識できる。
・ミスを恐れずに自信を持って取り組めるので、チャレンジする空気が生まれる。
・働きやすいと感じる環境が整い、帰属意識が高まる。

 で、いろいろ振り返ってみました。反省も含めて、振り返りなるものをこれまであまりしてこなかったことに気が付きました。
 「防災・減災」についても同様です。個人のレベルだけでなく、組織のレベルでも同様のようです。
 例えば、地元自治会の防災訓練。そもそも、あまり活発には行われてこなかったのですが、昨年からはコロナ禍の影響で、ほとんどと言っていいくらい行われていません。
 記憶をたどって昔のことを思い出すと、やってはいても、なんだか毎年同じようなことの繰り返しだったような気がします。
 なぜなのか、原因を考えてみました。
 一つは、自治会の防災担当者が任期1年でころころ入れ替わっていること。そして、やった訓練の"振り返り"が多分、行われてこなかったこと。だから、次の年の訓練の計画がきちんと立てられておらず、なんのために訓練をするのかという目的も考えられてこなかったこと…。
 こうして、毎年毎年、ただ惰性で続けられていただけだったようです。
 このことは、自治会の訓練だけの話だけではなく、一部の市民団体でも同様の問題を内包しているようです。
 講座の講師がこんなアドバイスをしてくれました。
 「例えば、訓練をする時、目的をきちんと考えているでしょうか。目的は、計画したことが、ちゃんとできたかどうかを確認することです。それがないと、改善につながりません。ですから、計画を立てる時には、何を確認するための訓練なのかをしっかり考えることが大切です。そして、どういう結果が得られれば『OK』なのかも事前に考えておくことが必要でしょう」
 幸いなことに、今、私や私の周りにいる一部の仲間たちは、これまで私たちが漫然とやってきたことを振り返り、「これではだめだ」と気づき始めました。
 というわけで、今後は、「次にどう動くべきか」という目標を定め、「決めたことをやってみる」、そして「振り返る」。その流れの中から、何か気づきがあればしめたものです。
 すると、活動がどんどん活発化していくことでしょう。
 こうした試みに挑戦しない限り、自治会の防災訓練にしても市民活動にしても、いくら長年続けても意味はないでしょう。
 振り返りの手法で問題点、改善点を見出すことができれば、それは、とてつもない「宝物」になるはずです。
 これからは、この「宝物」探しを地道に続けていこうと思っています。


《引用・参考文献、webサイト》
・ 振り返りの意味とは?仕事における振り返りの手法と重要性/webサイト「あしたの人事」
・振り返りとは?成長につながる振り返り(リフレクション)の重要性と手法/webサイト「Katsuiku Academy」
・振り返りとは?仕事でなぜ重要なのか?効果・実施のポイント・注意点について/webサイト「TECH CAMPブログ」